公務員のiDeCoの上限額が、月に20,000円に上がると聞きました。
僕はやっていませんが、iDeCoはやったほうが良いですか?
そうですね。もし、資金に余裕があるなら、iDeCoをやっておくと得なことがありますね。
公務員は、第2号被保険者になるので、
・国民年金
・厚生年金
は支給され、さらに「年金払い退職給付」があります。
その上に、さらに上乗せできるのが、「iDeCo」(個人型確定拠出年金)です。
今回は、iDeCoの全体像をお伝えします。
iDeCoとは?
iDeCoは「私的年金」で、自分で積み立てる年金です。
私的年金と逆の立場にあるのが、「公的年金」。公務員の場合であれば、「共済長期」として毎月のお給料から掛金が引かれています。
ただし、iDeCoはあくまで「年金」なので、NISAのように途中で拠出金を引き出すことはできませんのご注意ください。
「掛け金=保険料」と考えれば問題ないです。
「拠出=自分でお金を出す」と考えればいいです。
※公務員の場合、共済長期として支払っている公的年金は、社会保険なので、所属先が半額負担してくれています。
「もし、年金を追加したければ、自分でやっていいですよ。ただし、掛け金は全額自分で負担してね」
というのがiDeCoです。
iDeCoの始め方
・最寄りの金融機関に行って、「iDeCoを始めたいです」と申請する
金融機関の確認はこちらから(iDeCo公式サイト)
・ネット銀行、ネット証券でも可能
個人的には、ネット証券で口座開設するのが一番だと思います。
掛け金を決める
・iDeCoは月5,000円から、1,000円ごとに金額を決定することができます。
・公務員の場合は、月12,000円が上限です。(2024年12月から、上限が月20,000円に引き上げられます)
・掛け金の金額は、年に1回変更できます。
・掛け金の拠出を止めることもできます。(書類提出等の手続きが必要)
・拠出の再スタートも可能です。(こちらも再申し込みが必要)
iDeCoの掛金には、3パターンの運用方法がある
①定期預金
定期預金のように毎月積み立てていきます。定期預金ですから、利率はよくありませんが、元本割れは起こりません。
②保険商品に回してもらう
利息は定期預金より高いが、手数料が利息を上回るとがあります。
③投資信託の商品を決めて運用する
元本割れするリスクがありますが、利益が出やすく、複利の効果で資産が大きくなりやすいです。
※長期で運用するなら投資信託がおすすめ
私は、職場に来た金融機関の方(ろうきんさん)から説明を受けて、最初は①定期預金から始めました。しかし、旧NISA口座で投資信託を運用し、増えていくことを経験したので、別の証券会社にiDeCoを移管し、同じタイミングで投資信託に回すようにしています。
iDeCoの途中経過を紹介
私は2020年からiDeCoを始めて、
2024年2月時点で858,585円を拠出し、現在1,449,417円となりました。
現在は、
・eMaxis slim 先進国株式インデックス
・eMaxis slim 米国株式S&P500
2つの投資信託に6,000円ずつ振り分け運用しています。
もちろん、元本割れのリスクはあるので、ずっと増え続けていくとは限りません。
iDeCoのメリット3つ
①受け取り方と税金
まず、大前提として、年金は所得になりますから、所得税の対象となります。
一括で受け取る
60歳から75歳の間、自分でタイミングを決めて一括で受け取ることができます。
一括で受け取る場合は、どの時期であっても退職所得に入るので、退職所得控除を使うことができます。
退職所得控除
①拠出期間が20年未満 → 40万 × 勤続年数 が控除
②拠出期間が20年超え → 800万円 + 70万円 × (拠出年数 ー 20)
公務員の場合、拠出できる金額に制限があるので、iDeCoの金額が莫大に増えることはないと思います。
仮に、
学校の先生
22歳から60歳まで
毎月12,000円拠出
年利5%で増えた
場合を考えてみると、
合計拠出額は、5,472,000円
最終資産は、15,203,576円となります。
一括で受け取る場合、上記②の退職所得控除の式が適応になるので、
8,000,000円 + 700,000円 × (38年 ー 20年)=20,600,000円
控除額の方が多くなるので、iDeCoの所得に税金はかからない
となります。
こういうケースであれば、本業の退職手当とは時期をずらしたほうが良いでしょう。
例えば、学校の先生の退職手当が2,000万円で、iDeCoの金額をプラスすると金額が大きくなってしまいます。退職所得控除を使っても、所得税がかかってしまいます。
一括の場合、どのタイミングでiDeCoを受け取るかがカギになります。
ちなみに、受け取る前になくなった場合は、遺族に対して「死亡一時金」として支払われます。
年金のように分割して受け取る
この場合は、「雑所得」として所得を申告することになります。
※年金といえば、雑所得と考えても問題ありません。
受け取った金額に応じて、さまざまな条件で雑所得控除が受けられます。
以下の表を参考にしてください。
年金として受け取る場合、残りの金額は引き続き投資信託として運用されます。
②運用益に対して、非課税になる。
先程の運用状況を参考にすると、
現在+590,832円の利益が出ています。
通常、20.315%の税金(所得税15%・住民税5%+復興特別所得税)がかかります(120,027円)が、
iDeCoの場合は非課税なので、運用益がそのまま自己資金となります。
この仕組みはNISAと同じです。
③節税ができる
iDeCoの掛金は、毎年所得控除として申請できます。
所得税を抑えることができる公務員には数少ない節税対策の1つです。
所得税の決まり方は決して簡単ではありません。
詳しくは、こちらの「源泉徴収票の見方」の記事を参考にしてください。
所得税は、額面金額(年収) ー 給与所得控除 ー 所得控除 = 課税所得
を算出し、そこから特別控除(住宅ローン控除)などを引いて、税率をかけて決まります。
赤字になっている所得控除に、iDeCoの掛金全額を含めることができるので、
公務員が満額行った場合は、144,000円の所得控除を適応できます。
まとめ
①iDeCoは私的に取り組む年金で、60歳まで手にすることはできない。
②掛金は毎月5,000円から、1,000円単位で決められる
③毎月の上限額は12,000円(2024年12月から上限が20,000円に)
④3パターンの運用方法がある(定期預金・保険商品・投資信託)
⑤3つのメリット
・受け取る際に税金がかかりにくい
・運用益に対して非課税
・掛け金を所得控除に計上して、所得税を節税できる