源泉徴収票の見方

教師の定年、退職
先生
先生

毎年もらう「源泉徴収票」なんだけど、捨てちゃっていいのかな?っていうか、一体何がわかるの?ぼくはいくらお給料をもらってるか、とか?

ちーた
ちーた

まあ、それもわかるといえばわかるんですが…額面であって、手取りは書かれていないんです。

源泉徴収票は、所得税が分かる書類です。
また、収入の証明の際に必要になります。勤務先が発行するので、収入に関して確実な証拠になるんです。

今回は、源泉徴収票の見方を理解して、所得税の仕組みを理解し、
退職後には所得税を取り戻すことを忘れずに行ってください。
(所得税の返却方法について、ぜひ最後まで読んでくだい。)

源泉徴収票でわかること

源泉徴収票は、ずばり自分が支払った所得税の金額がひと目でわかります。

所得税は、毎月の給料から引かれているので、給与明細を見ればいくら払っているか書かれていますが、「先払い」で払っていた額なんです。仮払みたいなもので、少し多めに徴収されます。

10月や11月にかけて、職場で年末調整を行いますよね。
個人の事情を提出して、控除を受けることで所得税がいくらか戻り、12月の給料はホクホク。
だけど、結局のところ、「所得税はいくら払った?」ということがわかりません。

その金額をはっきりと教えてくれるのが源泉徴収票で、
「所得税を把握する」大事な書類になります。

源泉徴収票が必要な場面

①転職する時

これまでの収入や納税額を伝える、正しく納税するために必要になります。
転職するときは、退職する会社から源泉徴収票を忘れずにもらっておきましょう。
いざという時に困らないように、きちんと保管しておいてくださいね。

②収入証明が必要な時

ローンを組む時に必要になります。
住宅ローン、不動産ローンなどを組むときには提出が求められますので、数年分をきちんと保管しておきましょう。

③確定申告をする時

公務員や会社員なら、会社で年末調整を行い、そこから先の申告はやってもらえますが、
退職して無職になった場合はそういうわけにはいきません。

3月に定年退職し、その後は退職手当と年金をメインに生活する場合も、
確定申告は必要になります。

申告自体は難しくないのですが、源泉徴収票を見ながら入力することになるので、
なくさずに保管しておいてください。

特に、この3月に定年退職してそのまま年金生活を送られる先生は、
令和7年の2月に確定申告を行ったほうがいいです。

源泉徴収票の見方

所得税の決まり方

下の表をご覧ください。引き算の筆算のように見てください。

簡単に言うと、

年収から、
引けるもの(控除)を引いて、
課税所得を出し、
税率をかける。

この流れです。

この一連の流れに関わる金額が、源泉徴収票に記されているのですが、
書いてあるものもあれば、書いてないものもあるんですよ。それが混乱の原因。

源泉徴収票の見方

次のようなモデルで考えてみましょう。40代、学校の先生がモデルです。

源泉徴収票は、大きく3つのエリアに分かれています。

下の図にある、
赤で囲まれた①のエリア
緑で囲まれた②のエリア
この2つのエリアを順番に説明していきます。

①のエリア 年収・控除・所得税

まずは、AとBの数字から。

Aの金額が、年収です。
「あなたの年収は?」と聞かれた場合、この数字を記入すればOK。
ただし、約700万円ものお給料を、実際に手にしているわけではありません。
Aだけを見て「年収700万円だから、700万円まで使えば大丈夫」と勘違いすると、資産はどんどん少なくなるのでご注意ください。

Bの金額は、公務員のみなし経費が引かれた金額になります。
所得税の計算に使われる金額です。手取りではありません。

私のような個人事業主の場合は、
所得(もうけ) = 売上 ー 経費 として申告できます。

しかし、公務員には経費申告が認められていません。しかし、仕事で必要なものを買ったり、仕事上の付き合いで支出する場合がありますよね。

仕事で着るスーツやジャージを買う。
ガソリン代や交通費
カバン、ペン、靴 など

こういったものを細かく計上していたらきりがない(想像すると細かすぎて恐ろしい…)ので、年収に応じて「給与所得控除」という名目で税金を計算する時に引いてもらえます。

その計算式は、以下のとおりです。

(国税庁HP)

今回は、年収704万円なので、下から2段目の計算式が該当します。

7,045,296円 × 10% + 1,100,000円 = 1,804,530円 

この金額は、源泉徴収票に書かれていません。
給与所得控除を、年収から引いた金額が、Bの5,240,766円となります。

次は、「所得控除」を引いていきます。

ここが、ぶっちゃけ年末調整でめんどうなところ。
いろんな書類を提出していませんか?

個人の事情というのは

・配偶者が働いていない、収入が少ない
・親と一緒に同居し、経済的な支援をしている
・大学生がいる
・生命保険に入っている
・地震保険に入っている
・住宅ローンを始めたばかり

などが挙げられます。出費が増えてしまう分、控除申請して所得税を少なくしてもらうのです。

この内容は、②の緑色のエリアに書かれています。

今回のケースでは、
・社会保険料 1,124,121円 → 教師なら、共済短期(健康保険)、共済長期(年金)など
・生命保険料の控除 50,000円 → 自分で将来のことを考えているため控除される
・基礎控除 480,000円 → 誰でも控除される

今回はこの3つの合計額が、所得控除としてまとめられています。

もし、iDeCoをされている場合は、

このように表記されますが、下の1,229,160円は、iDeCoの掛金144,000円を含んだ金額になります。気をつけてください。

そしたら、
年収から給与所得控除を引いた5,240,766円から、所得控除の1,654,121円を引いていきます。

5,240,766円 ー 1,654,121円 = 3,586,645円

これが「課税所得」です。この課税所得を減らすと、税金の戻りが大きくなります。

累進課税の税率をかけていくのは、この金額です。(年収に税率をかけると、えらいことになります💦)

それでは、下の表を使って、所得税を計算していきましょう。

(国税庁HP)

まず、課税所得の1000円未満の数字を切り捨てます。

3,586,645円 → 3,586,000円

3,586,000円は、税率が20%の範囲なので、

3,586,000円 × 20% = 717,200円   ここから控除額の427,500円を引きます。

717,200円 ー 427,500円 =289,700円

源泉徴収税額(所得税額)の295,700円に近づいてきました。
最後の仕上げは、復興特別所得税の追加です。

所得税の金額に2.1%の金額を上乗せします。

復興特別所得税 = 289,700円 × 2.1% =6,083.7円

※100円未満は切り捨て

復興所得税は、6,000円

ですので、

289,700円 + 6,000円 = 295,700円が源泉徴収された所得税となります。

もし、住宅ローン控除がある場合には、
295,700円から控除金額が引かれていきます。大きいですね。

教師を退職したら、確定申告を忘れずに

次の3月で教師を退職。その後は働かないという場合は、
翌年確定申告を行ってください。

教師時代に払いすぎていた1月〜3月分までの所得税が少し戻ってきます。

退職後、無職になる場合は、収入が大きく下がるので、
源泉徴収票を使って国税庁のHPから確定申告をしてください。

国税庁 確定申告書等作成コーナー

まとめ

源泉徴収票は、重要な証明書にも関わらず、その意味を教えてもらう機会はほとんどありません。

中学生の時に、累進課税の仕組みだけを学習し、年収に税率をかけるものだと私は思い込んでいました…税金の知識は必要です。この機会に、ご自身の源泉徴収票を使って所得税を把握してみてください。