令和6年度から、教師の定年延長が始まります。
役職定年となり、校長先生や教頭先生は、一般教諭として勤務ののち、正式な定年退職となり、2年に1度定年が延長していきます。
一方で、国民年金や厚生年金の受給は、原則65歳からです。
繰り上げ受給ができるので、働きながら年金を受給することも可能です。
ですが、「在職老齢年金」という決まりがあり、
収入が多い場合は支給される厚生年金が一部カットになってしまうこともあります。
今回は、60歳以降、働くときに気をつけたい「在職老齢年金」について紹介します。
在職老齢年金とは
60歳以降、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受け取ること(正採用の先生を60歳以降も続けていて、年金を繰り上げ受給している場合は該当)を在職老齢年金と呼びます。
定年が延長となり、教諭をしながら年金の繰り上げ受給を受ける際、発生する可能性があります。
将来的に65歳で定年退職となり、その後厚生年金に入りながら再雇用で収入を得る場合も関わります。
簡単に言うと、
「収入が多い人は、老齢厚生年金を、一部カットしますね。大丈夫でしょ」
ということです。(ちなみに、老齢基礎年金はカットされません)
では、どういう場合に一部カットされるのかというと、
「毎月の給料+ボーナス1ヶ月分の額+老齢厚生年金」が、月48万円を超える場合
具体的に考えてみましょう。
(例)61歳、公立学校の校長を勤めた後、教諭をして勤務する。
※これから紹介する金額は、あくまで仮定です。実際の金額と離れることがありますので、ご了承ください。
①毎月の給料 29万円
②ボーナスをならして、1ヶ月分に相当する金額 9万円
③老齢厚生年金(繰り上げ受給している) 12万円
合計50万円
在職老齢年金の基準となる金額は、月48万円です。
この場合、①②③の合計が50万円と、基準額の48万円を超えています。
そこで、50万円ー48万円=2万円
この2万円の半額分、1万円の老齢厚生年金がカットされます。
気をつけたいこと
60歳の役職定年後、給与は7割程度に下がると言われていますが、
実際どの程度下がるのかは蓋を開けてみないとわかりません。
「収めた保険料は回収したい」と考えて、年金の繰り上げ受給を受けながら働くことも可能です。
ただ、このように、
給与+ボーナスの平均額+厚生年金額が、
基準額を超えてしまうことも考えられるので、
働きながらどのくらいの収入が得られるか、確認してから年金の受給時期を決めるのが良いかと思います。役職定年後も、生活できない額まで給料が下がってしまうとは考えにくいです。
これでも基準は緩やかになった
2022年4月、2023年4月に法改正
2022年3月まで、基準額は以下の通りでした。
60歳〜64歳 月28万円(給与+ボーナスの平均額+厚生年金額)
65歳以上 月47万円
かなり厳しかったですね。
特に、60代前半から厚生年金の繰り上げ受給している人には厳しい条件でした。
それが、2022年4月に、年齢を問わずに月47万円に統一され、
2023年4月からは、月48万円と現在の基準額となりました。
高齢社会、定年延長に向けて、国も動いていることがわかります。
稼ぐ60代が推進されていますね。