「副業で収入が増やせたらいいなと思っているんだけど、教師は副業が厳しいよね…バレてニュースになったケースもあるし、メディアに取り上げられるといろんな人に迷惑がかかるから…でも収入は増やしたい」
とお悩みの先生を解決する記事です。
19年間正採用教員として勤務し、43歳で退職したちーたが、教師の副業について紹介します。
これまでにいくつか、教師在職中に副業や資産形成に取り組んできました。
成功談や失敗談をお伝えします。
忙しい人はここだけ読んでください!
それでは詳しく見ていきましょう。
1.採用形態によって副業できるかどうかは異なる。
まずはこちらの表をご覧ください。
表を見てわかることは、
・公立学校の正採用教員は、副業が難しい。
・私立学校の場合は、各学校の規定に準ずる。
・非常勤講師の場合は、基本的に副業ができる。
公立学校の非常勤講師に関しては、採用される前に確認が必要です。
任命権者が都道府県教育委員会や市町の教育委員会となり、自治体によって規定が異なるからです。
現在、公立の小中学校では、「低学年支援員」「教員業務支援員」など、さまざまな採用形態があり、自治体によっては兼業の可否が異なります。私の知り合いで教員業務支援員の方は、兼業が許可されていません。兼業を視野に入れながら非常勤講師を引き受ける場合には、事前に確認をとることが大事です。
2.正採用教員でも、「許可を得て」できる副業
ここからは、許可を得れば正採用教員問題なくできる副業について紹介していきます。
前提として、「教師が許可を得ずに取り組める副業はない」と考えてください。
①執筆活動、書籍出版
一番のおすすめは、執筆活動・出版活動です。
私は在職中に、Kindle電子書籍を出版しました。
最初に出版した本は、『学校は幸せの出発点』です。2020年5月に出版しました。『うまくいっている先生の頭の中』は、2023年1月に出版した2冊目です。
手順は、超かんたん。
管理職に報告し、事務職員から「兼業申請書」をもらって記入する。
↓
校長と教育長の承認を得る。
以上です。教育に関する本を出版することは、問題ありません。紙の本を自費出版する場合は、多額の費用がかかります。出版社を通じて商業出版する場合には、かなり条件が厳しいです。ですので、ハードルが低いKindle電子書籍の出版は、教師の副業として最適と言えます。
ここから商業出版の道が見えるかも⁉
各教育委員会に「兼業承認願」あるはずですから、確認をしてみてください。
書いた本の中身についてチェックされるかどうかは、管理職や校長次第です。私の場合はチェックされました。批判的なことも書きましたが、教育に関することでしたので、問題はなかったです。
②教育関係の講演会に、講師として登壇し、謝礼を受ける。
・別の自治体から研修会の講師として依頼され、謝礼を受け取る。
(夏季休業中の研修などでありませんか?)
・子育ての講演会の講師に呼ばれ、話をする。
講師謝礼は問題ありません。事前に許可を得て、収入を得ることは可能です。
しかし、単発的なものにしましょう。講演をたくさん受けることで収入が増え、本業に支障が出ると問題になります。
③教育に関係する音楽活動
教育に関わる音楽活動(オペラ、オーケストラ、合唱など)で出演料をいただくことは許可が下りやすいと言われます。
趣味でロックバンドを組み、ライブハウスで演奏し、売上が出る場合は問題になるでしょう。お店で演奏会に出演し、ギャラが発生するような活動は控えてください。
④収益を目的としないYouTubeやブログ
教師経験の中で得た知見を、YouTubeやブログを通じて発信することは、意義のある活動です。ただし、YouTubeの広告収入を目的としたり、ブログでのアフィリエイト収入がメインになる場合は処分の対象となりますので気をつけてください。収入は一切なしで、純粋に知見を届ける必要があります。
また、子どもたちの個人情報(名前・顔・住所)、勤務先の情報など、発信内容に十分注意を払ってください。
⑤小規模農業
地方で教師をしている場合に多いのが、代々引き継いでいる農業に取り組むケースです。作った農作物を、自分で消費する場合は問題ありません。
また、
・耕地面積30a以下
・農産物の年間販売額が50万円以下
を満たす場合は、事前に申請しておけば、安心です。
3.資産形成は許可なくできる。
副業と一緒にされるケースが多い資産形成は、私は別物だととらえています。
ここで紹介する資産形成は、誰でも可能な取り組みです。正採用教師や非常勤講師、公務員、会社員、自営業者、どのような雇用形態であっても申請は必要ありません。住宅ローンの相談で銀行を訪れたり、 ネットで保険を申し込んだりするのと同じことです。
①つみたて NISA
つみたてNISAを利用して資産形成を行う方法を紹介します。
つみたてNISAは、投資信託(株式の詰め合わせパック)などの金融商品を運用する(出資して、運用はプロのファンドマネージーに任せる)ことで、長期にわたって資産を大きくしていく取り組みです。運用とは、どの会社にどれだけ出資するかを決めることです。
・年間120万円まで運用することができる「一般NISA」
・年間40万円まで運用ができる「つみたてNISA」
の2種類があります。
銀行に預けたお金には、利子が付きますよね。その利子から税金が引かれていることは、ご存知ですか。
現在、銀行の金利は、 0.001%から0.002%と非常に低い数字です。これは預けているお金がほとんど増えない状態…。仮に100万円預けていたとしても、利子は10円。この10円には、 20%の税金がかかるので、2円引かれた8円が口座に振り込まれます。
貯金にしても、金融商品を運用する投資にしても、利益には約20%の税金がかかります。
一般NISA・ つみたてNISAの場合は、 どちらも利益に対して非課税(期限付き)という嬉しい恩恵があります。 利益が10万円出た場合、本来なら2万円程度は税金として引かれ、手元に残るのは8万円程度になりますが、 2つのNISAの場合であれば、利益の10万円が全額手元に残るのです。
②iDeCo(個人型確定拠出年金)
こちらもおすすめの取り組みです。 iDeCoは、「自分で作る年金」と解釈すればいいでしょう。 公立学校の教師は、共済組合に加入しているので、 毎月給料から、「共済長期」という名目で、厚生年金を積み上げています。それに+αして、 自分で作り上げる年金がiDeCoです。
こちらは、私が2018年から続けた iDeCoの状況になります(SBI証券にて運用中)。退職した今も、 月々12,000円ずつ継続中です。掛け金は約73万円、運用して約22万円が出ています。運用益は30.8%。銀行に置いておくと、0.001%しか増えません。
さらに iDeCoのメリットとして、年末調整の際に、所得の控除として節税ができます。収入から、 iDeCoの掛け金(私の場合であれば144,000円)を差し引くことができるので、所得が減り、払う所得税の額が少なくなります。 12月の給与で、 払いすぎていた所得税を取り戻すことが可能です。結果、12月の給与がいつもより多くなります。
教師はなかなか節税ができないので、 iDeCoは払いすぎた税金を取り戻す1つの手段として、大変有効です。
定年の延長も始まりますから、早めに準備しておくと良いでしょう。
この2つは、 教師の資産形成として取り組んでほしいおすすめとなります。
4.教師にはおすすめしない資産形成
次に紹介する2つは、 許可を得なくても取り組むことができる資産形成ですが、 ギャンブル性が高くおすすめしないものです。(実際に私も失敗しました(;O;))
①個別株投資
個別株は、一社の株を保有することです。 経済や政治の影響を受けやすく、値動きが激しい金融商品となります。タイミングを掴んで売買ができれば、大きな利益を収めることができますが、値動きが気になって勤務に集中できない可能性も考えられます。また個別株投資は、それなりの知識や経験が必要となります。教師をしながら取り組むのは、難しいかもしれません。
②FX (外国為替取引)
海外旅行に行く際に、円と他の通貨を交換することがあります。交換比率は為替レートと呼ばれ、日々変化しています。 タイミングよく交換することで、 利益を生み出すのがFXです。
自分で取引をするのは難しいという方には、 自動で売買してくれるツールもあります。しかしこちらもおすすめしません。 FXは大きく儲かるケースがありますが、その逆も然り。
私は FX で50万円を損失した経験があります。少しずつ増えた額が、1日であっという間に消えることがあるんです。それがいつ起こるかわかりません。
勤務中にスマホから目が離せなくなることも。本業に支障が出ることも考えられますので、 FXもやめておいたほうがいいでしょう。
5.やってはいけない副業
①利益を目的とした労働活動
塾講師、 アルバイト、 ライター、 イラストレーターなど、報酬を目的とした労働活動はできません。教育に関わらないジャンルでのお仕事は、 申請しても許可は下りないですし、もし公になった場合には、処罰の対象となります。
②利益を目的とする、 YouTube、ブログ運営
2021年には、 公務員がゲーム実況のYouTube チャンネルを運営し、 100万円以上の利益を得て話題になったことがあります。 教育に関わらないYouTubeチャンネルやブログを書く際には、あくまでも趣味で行うことが前提で、広告費やアフィリエイトなどの収入を得ないようにしましょう。
板書例や、実践報告をブログに記載し、 Google AdSense 広告の許可を受けた教員もゼロではありません。しかし、公務員の世界で、「前例を認める」 ことは、 ほぼ無いと考えた方が良いでしょう。取り組む前に、 勤務する自治体や、県の教育委員会に確認する作業を行ってください。同じ県で事例がない場合に、 自分が最初に作り出すことは、かなりハードルが高いです。
③継続的に行うフリマアプリでの物の販売
家庭にある不要品を、フリマアプリに出して売ることは問題ありません。 しかし、継続的に物を仕入れて売りに出すことは、「事業」として見なされます。また、利益が出る場合には、確定申告が必要です。「20万円以下なら、確定申告をしなくてもいい」と見かけますが、これは所得税についてであって、 住民税には反映されますから、確定申告が必要になります。
6.まとめ
最後にポイントをまとめます。
・おすすめの副業は、Kindle電子書籍出版
・資産運用(NISAやiDeCo)は取り組むべき
・利益目的の活動はNG
・取り組む前には必ず確認と申請を行う
教師は不祥事として取り上げられると働きにくくなりますから、十分に気をつけてくださいね。おすすめは、Kindle出版です。