
投資信託の「信託報酬ってなんですか?数字が小さいほうがいいと聞くのですが…」

難しいですよね。今回は信託報酬について、わかりやすく解説していきますね。
今回の記事では、投資信託を運用する際に発生する「信託報酬」について解説していきます。
1.信託報酬とは
信託報酬とは、投資を「信じて託す」際に発生する手数料・代行料のことです。
いくらかかるのかは、目論見書に書かれています。

(参照:三菱UFJ国際投信)
信託報酬の金額はいくらになるのか。
年間の信託報酬の額は、
(平均基準価額 ✕ 口数) ✕ 信託報酬率
(平均基準価額 ✕ 口数)というのは、要するに
・自分が出資している金額
・保有している金額
と捉えてもらって大丈夫です。
その金額に、信託報酬率をかけたものが、年間の信託報酬の金額になります。
ただ、基準価額は毎日変化します。
平均基準価額とは、「運用報告書」に記載されています。

運用報告書の一番下に、「期中の平均基準額は、20,649円」と記載されています。
この20,649円は、1万口あたりの金額です。
例えば、この投資信託を100万口保有しているなら、1万口の100倍保有していることになるので
20,649円 ✕ 100 ✕ 0.1144% = 約2,362円
となります。これがざっくりとかかってくる金額です。
2.信託報酬は、毎日かかってくる

信託報酬は、毎日かかってきます。つまり、厳密には今日と明日で基準価額が変われば信託報酬の金額も変わります。
例)A投資信託の基準価額の変化
月曜日:20,000円
火曜日:18,000円
水曜日:20,000円
木曜日:22,000円
金曜日:20,000円

(極端な例ですが)信託報酬は0.1%、80万口所有していたとすると、日々の信託報酬はどう変わるかというと、
月曜日:20,000円 ✕ 0.1% ÷ 365 ✕ 80 = 4.3円
火曜日:18,000円 ✕ 0.1% ÷ 365 ✕ 80 = 3.9円
水曜日:20,000円 ✕ 0.1% ÷ 365 ✕ 80 = 4.3円
木曜日:22,000円 ✕ 0.1% ÷ 365 ✕ 80 = 4.8円
金曜日:20,000円 ✕ 0.1% ÷ 365 ✕ 80 = 4.3円
土曜日:20,000円 ✕ 0.1% ÷ 365 ✕ 80 = 4.3円
金曜日:20,000円 ✕ 0.1% ÷ 365 ✕ 80 = 4.3円
土日は金曜日の場合をそのまま引き継ぐので、金曜の基準価額が反映されます。金曜日の金額が大きいと、土日も多くなってしまうという…(;_;)
このまま積立をせずに、基準価額も20,000円前後であれば、
・1日の信託報酬は約4.3円程度
・年間の金額は、1,574円
となります。
同じ条件で信託報酬が1%になった場合
仮に、信託報酬が1%になってしまうと…
月曜日:20,000円 ✕ 1% ÷ 365 ✕ 80 = 43円
火曜日:18,000円 ✕ 1% ÷ 365 ✕ 80 = 39円
水曜日:20,000円 ✕ 1% ÷ 365 ✕ 80 = 43円
木曜日:22,000円 ✕ 1% ÷ 365 ✕ 80 = 48円
金曜日:20,000円 ✕ 1% ÷ 365 ✕ 80 = 43円
土曜日:20,000円 ✕ 1% ÷ 365 ✕ 80 = 43円
金曜日:20,000円 ✕ 1% ÷ 365 ✕ 80 = 43円
毎日かかってくる信託報酬の金額も10倍になります。
年間では、15,747円ほどかかることに。
基準価格が20,000円
年間80万口
保有すると、年間おおよそ160万円ほど運用することになりますが、160万円のうち1,574円は大したことはないと思うのですが、15,747円は大きいですよね…。
今紹介した例は、積立をストップしていますが、
積立が増えれば
◯所有する口数が増える
◯順調に基準価額が上がる
となれば、投資家にとっては嬉しいです。
同時に、信託報酬の額にも反映されるので、信託報酬を受け取る会社にも嬉しいわけです。

「信託報酬がたくさん引かれてしまう。残念…」と考えるよりは、「自分の引かれる分も増えるが、これは投資信託に関わる会社にもいいことなんだ。win-wimなんだ」と考えると、救われた気分になるかもしれません。
信託報酬は、どこから払われているのか
信託報酬は、投資家が出資した信託財産から引かれています。つまり、これは基準価額の下落に関わってくるのです。つまり、信託報酬率が高ければ、基準価額も下落しやすいのです。
3.「隠れコスト」もチェックしておこう

上の表の中にある
・(b)売買委託手数料
・(c)有価証券取引税
・(d)その他費用
この3つが高すぎないかをチェックしてください。
3つの隠れコストは、運用後1年間ははっきりとわかりません。新しい投資信託は、隠れコストがわからないため購入には注意が必要です。
投資家からどれだけ純資産が集まっているか
基準価額は延びているか
信託報酬は低いか
隠れコストは高くないか

話題のファンドだと言って、すぐに購入しないほうがいいの?

そうなんです。決して慌てて購入するのではなく、じっくりと腰を据え、然るべきところをチェックしてから運用しましょう。
4.信託報酬は、どこに支払われるの?
信託報酬は、投資信託の運営に関わる3社に支払われます。
①委託会社(運用会社)…三菱UFJアセットマネジメント株式会社など
・目論見書を作成
・運用報告書の作成
・ファンドの舵取りを指示
②販売会社…楽天証券・SBI証券など
・投資家との窓口になる
・証券会社、銀行、郵便局など
③受託会社(信託銀行)…三菱UFJ信託銀行株式会社など
・投資家からの資金を集め管理する
・委託会社の指示に従い売買する
①③のように、実際にファンドを運営する会社と資金を管理する会社は異なります。1つの会社の経営が危うくなっても、投資家の資産が守られるように、3つの会社にいろんな職務を分担しているのです。
