教師を退職した際の事務手続き(健康保険編)

教師の定年、退職

教師を辞めるときは、どんな事務手続きをすればいいのか…
わからない場合が多いですよね。
(私もさっぱりわかりませんでした)

退職したら、社会保険(健康保険・年金)と、税金(住民税・所得税)の手続きを自分でやることになります。

在職中は、勤務先が手続きをしてくれて、保険料や税金はすべて給料から天引きされていました。

自営業やフリーランス、無職になると、手続きや支払いは
すべて自分で行う必要があります。

役所から納付書が送られきてコンビニで払ったり、
分割して払っていたものを一括で支払ったりと、
教師時代とは異なることが多いです。

特に退職してすぐは、
収入が減ったのに支払う金額が多いということもあるので、
気をつけてください。

今回は、公立学校の教員が退職した場合の
健康保険について解説していきます。
(年金・税金については、別の記事で解説しますね)

YouTubeでも解説しています。ぜひご覧になってください。

健康保険の手続き

健康保険とは

万が一の怪我や病気に備えて、国が助けてくれるのが健康保険です。
病院に行ったとき、健康保険証を提示すると費用は3割負担ですみます。

教師の健康保険は、公立学校共済組合が運営しています。
給与天引きによって、共済組合に保険料を支払ってるわけですね。
給与明細の「共済短期」が保険料に該当します。
教員の健康保険=共済短期と理解してください。

治療を受けるとき以外の給付としては、
・私傷病などで働けなくなった場合に受け取ることができる「傷病手当金」
・出産のために休んだ期間に給付を受けることができる「出産手当金」
などもあります。

※ただし、傷病手当金や出産手当金などは、組合員を脱退したあとの場合は至急を受けることができません。

(例)任意継続中でも、退職後パート先で勤務していたときに妊娠したなどの場合、出産手当金は受けられない。

退職後の健康保険には3つの選択肢がある

退職した際には、次の3つから健康保険を自分で選び、手続きが必要になります。

1.任意継続(共済短期の継続)

2.国民健康保険に加入

3.扶養に入る

それぞれ説明します。

任意継続

任意継続とは、教員在職中と同じ保証を引き続き継続できる仕組みです。

<任意継続の特徴>
・継続できる期間は最大2年間(1年後に継続するか決められる)
・保険料の内訳は、健康保険と介護保険
・保険料は、※掛け金の標準額 × 掛け金率
・2年目の保険料も、1年目とほぼ変わらない
・家族を扶養に入れられる
・支払いは一括か、毎月ごとの口座振替

任意継続を申請すれば、退職までに共済組合から具体的な金額が提示されます。
私は3月中旬に、職場で通知を受け取りました。

共済短期(健康保険)と介護保険をあわせて、1年間の合計掛金は約51万円でした。

国民健康保険(国保)に加入する

国民健康保険は主に、自営業・個人事業主・無職の人が加入する健康保険です。

<国民健康保険の特徴>
・加入手続きは退職後に市役所や役場で行う(通知は来ないので、自分から行きましょう)
・保険料は各市町村に支払う
・目安は在職中の約2倍(雇用される人は、所属先が半分負担してくれたから)
・退職日の翌日から、14日以内に手続きを行う
・加入期間は無制限
・保険料は、市区町村によって異なる
・扶養の概念はない(家族の保険料も支払うことになる)

任意継続と国民健康保険を比較表

扶養に入る

扶養に入れる家族がいるなら、保険料が免除になるのでお得です。

<扶養に入る条件>
・配偶者が公務員や会社員(雇用されている人)である
・一時的に、親や子どもの扶養に入ることもできる
・扶養される人の年収は130万円未満(60歳以上なら180万円未満)
・扶養される人の年収は、扶養者の2分の1以下
・3親等内の親族である
・年収130万円とは、将来の収入見込なので、退職時に収入がないなら扶養の候補になる

どの健康保険に入るのがベスト?ケースごとに紹介

退職後に働かない、または収入が少ない場合

→扶養を選ぶ
扶養に入ることができれば、保険料を支払わずに病院での3割負担などの支援を受けることができます。

②他の企業に就職する場合

→会社の社会保険に入る

③自営業やフリーランスの場合

→任意継続にするか、国民健康保険にするかを決める

<任意継続が向いている人>

・扶養する家族がいる

→配偶者や子どもを扶養しなければならないなら、任意継続のほうが保険料が安くなることがあります。任意継続を申し込むことで、具体的な金額が提示されます。

・注意点

任意継続の場合、2年目も1年目と同じ保険料になります。退職後に収入が少なくなった場合、2年目の負担が増えることがあります。

<国民健康保険が向いてる人>

・退職後2年目以降、自治体が設ける軽減措置に当てはまる

→各自治体のHPをに軽減措置の内容が掲載されています。詳しい内容が理解できない場合は、電話や窓口で問い合わせれば教えてもらえますので、直接聞いてみるのが確実です。

健康保険を決定するまでにやっておく確認の流れ

①まずは公立学校共済組合に任意継続を申し込んで、保険料を把握する

②国民健康保険のおおよその金額を、サイトを利用して把握する

③市役所や役場に問い合わせて、金額を確認する

①〜③の詳細は、以下のとおりです。

①任意継続を申し込んで、保険料を把握する

目的は、任意継続の保険料を確認するためです。
最終的に任意継続をやめて、扶養や国民健康保険に入ることは可能です。

保険料を払わなけれは、権利を失効されます。

②国民健康保険の金額を把握する

・サイトを利用しておおよその額を把握する

 →国民健康保険料計算機

こちらのサイトを利用すれば、おおまかな金額は把握できます。

③市役所や役場に問い合わせて、金額を確認する

①②③を実施することで、払わないといけない保険料がわかります。

安い方が、退職後の健康保険の候補になってきます。

おすすめの健康保険のパターン

公立学校共済組合の任意継続は、1年で脱退可能です。退職1年後には、次の年の保険料の通知が送られてきますから、そのときに継続するか脱退するかを決めることができます。

ですので、退職後に収入が減っている場合は、


1年目任意継続→2年目国保

が一番安くなることが多いです。

任意継続の場合、退職後2年目の保険料は、現職中の給料をもとに算出されるので、2年間の合計保険料が増えてしまう傾向にありました。

一方で、国民健康保険は、前年の給料をもとに算出されます。(下図参照)

退職後1年目は、在職中の給料が元になるので保険料は高いけれど、

2年目は退職1年目の収入が元になる(収入が減った場合は得に)ので、

保険料が安くなる。

2年間のトータルで考えると、国民健康保険の方が安くなる傾向でした。

しかし、

退職1年目は任意継続のほうが保険料が安い。
でも、収入が少なくなった。
だから、少なくなった収入を基準にして、退職2年目は国保に切り替え保険料を下げる。

この方法が最適の方もいるのではないでしょうか。

退職後の収入はどうなるのかわからないので、1年経過した時に判断すれば良いというわけです。

まとめ

退職までの時間を使って、健康保険について金額を把握しましょう。

それと、自分で動かない限り、軽減措置などは受けることができません。

誰かが薦めてくれたり、教えてくれることはないんですよね。

ですので、自分で動いて退職後の健康保険をどうするか、考えていきましょう。